映画『かぞくへ』

主演の松浦慎一郎さんの実体験を元した物語ということで、かなりリアルに肌がヒリヒリするような感覚があります。
物語がミニマムであればあるだけ逆に普遍性を持って多くの人に共感させられるというのがこの映画でわかります。
たぶん海外の人も共感できるだろうし、遠い日本の若者の話に共感できてることに驚きもあったでしょう。
(すでに海外で多数受賞)

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俳優さんの演技が素晴らしいです。特に主演の松浦慎一郎さんの表現力が凄くて、電話に出る出ないのシーンが多いんですがその都度違うし、夜のランニングで婚約者からある一言を言われた時の表情なんてもう見てらんなかったですよ、辛すぎて。。

婚約者の佳織のキャラも面白かったです。
期待される女性像とか物語を動かすための便利なキャラなんかではなく、多面的でリアルでした。ケンカのシーンなんて怖すぎて最高です。。
ずっと一番真っ当なことをしている役のはずなのに、印象としては一番猛獣的でした。。面白い。。

主人公とその親友は洋人は長崎県の五島列島で育ったという設定なんですが、映画では五島の情景は出てこない。でも、僕にはこの二人が五島の海岸でじゃれ合いながら走っている姿がイメージされてました。
洋人を演じた梅田誠弘さんが五島の空気感をずっとまとっていたからなんだと思います。


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なんか観終わった後も勝手に登場人物たちの心情を「きっとあの時はこう思っていたんだろう」とか「実はこうことを期待してたんだろう」とかを考えてしまってます。。
それくらいに登場人物がちゃんと実在する映画でした。

四コマ映画『かぞくへ』

映画『デトロイト』

映画『デトロイト』

2017年公開。2017年は今作の題材である〝デトロイト暴動〟からちょうど50年。
南部から北部(デトロイト)へ逃げてきた黒人がやっとここで幸せに暮らせると思ったらここでもひどい人種差別に遭い、溜まっていた不満が暴発したのがデトロイト暴動。


四コマ映画『デトロイト』









この映画では5日続いたこの暴動のある夜に行われた白人警察官による黒人青年虐殺事件を、関係者への取材を元に構成したもの、とのことです。
言ってもまだ50年前のことなので命拾いした方々は未だご健在なわけです。
(日本版の公式サイトにインタビュー動画がありますね)

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こういう映画でこんなことを書くのは憚られるんですが、面白いんです。映画として。
同監督の『ハートロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』同様メッセージは重いんですが、普通にハラハラドキドキしちゃえるんです。。

構成がうまい。
最初の10分でズババッとスピーディーに初期設定と方向性を説明。
で、人物紹介しつつじんわりじんわりと最悪な方へ。
そして、噂の40分間ノンストップの〝死のゲーム〟。
からの、巧妙な法廷劇。。


ノンフィクションならではの「被害者は歌手を夢見る青年たち」という設定。設定じゃないんだけど、、事実だから。
フィクションだったらあざとすぎるけど事実だから。。
警官に銃を突きつけられて歌わされる聖歌がめっちゃくちゃうまいって言う。。


俳優が全員素晴らしいです。しかもほとんど若手。

ジョン・ボイエガは、警察と黒人市民との板挟みに遭う地元警備員を持ち前のカリスマ性で演じてました。
後に第1級殺人の容疑をかけられるシーンでの恐怖の演技も素晴らしくて観客誰1人として他人事とは思えなかったことでしょう。

この映画で日本でも人気スターになるであろうアルジー・スミス、警官に疑惑をかけられて地獄の尋問を受けるハンナ・マリー、ギリギリのとこで正義を守る州兵を演じるオースティン・エベール。
さらには、アベンジャーズのファルコン役のアンソニー・マッキーもいて、実録映画をいう枠を超えた演技対決にもなっていて、映画的な面白さにも満ちています。

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そして、まぁウィル・ポールターの怪演ですね。。一っっ番最っっっ悪な警察官を演じてますが、まぁ怖いですよ。最悪。
『なんちゃって家族』の童貞クンが。。

この映画観てると、ちょっと手が震えるくらいの怒りと恐怖が生まれまして、それをぶつける相手がウィル・ポールターのはずなんですが、それが出来ない。。
この人に怒りぶつけたってなんの意味もないと思わせる〝無知〟っぷり。。
後半ほとんど〝アホ〟みたいな表情をしてるので、会話をしたり感情のやりとりができる気がしない。
普通のエンタメ映画のラスボスだって結局は話が通じる人であった欲しいんだけど、この警官の無知っぷりはものすごくて負の感情の落とし所として機能してくれない。。

これは現代にも通じる何かを象徴しているのだと思います。


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エンドロールに流れる「It Ain't Fair」(フェアじゃない)も良い。
当時デトロイトでヒットしていたモータウン風の曲に現代のラップを掛け合わせて、けして昔話ではなくて今も続いている問題であることを歌っています。単純に曲もかなりかっこいいです。



四コマ映画『デトロイト』

お正月くらいダラけたい…がんばらなくていい映画10本を紹介!

いろんな意味での「頑張らなくていい」映画を紹介しております。ちとマニアックな10本です。。 一年に連休は数回ありますが、なんだかんだと予定を入れたりして逆に全然休めなかったりしますよね。
せっかくなんだから、正月くらいは体も脳みそも休ませてあげましょう。そんなに時にオススメの「がんばらなくていい映画10本」を紹介します!









5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜

1月13日公開『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』の紹介ポスターイラストを4枚担当いたしました! 新宿ピカデリーや地方劇場で掲示されるのです! 映画好きイラストレーターとしてこの上ない幸せっっっ! これぞ5%の奇跡!





実話です。
ご本人はサリヤ・カハヴァッテという方で、現在はビジネスコーチとして働いているとのこと。
実話なので、キレイキレイな感動ストーリーに収まっていないところがすごくいいです。
お父さんとの確執の顛末とか夜も寝ずに働くところでの…とか……、脚本段階でキレイにまとめることはできただろうに、それを残すことで絵本のような世界にせず1人の青年の苦悩と挑戦の物語になってました。
「視力を失っていることを隠してサービス業をする」ことがどうやって実現できるものなのか、が一つの見どころですね。
テンポよくコメディタッチで描いていて面白いです。
主演はコスティア・ウルマンというイケメン俳優。
この人の誠実さやまっすぐさが嫌味がないのがこの映画の核ですね。
この役のキャラクターってものすごく難しかったと思います。
で、この真面目&誠実男の対をなす存在として、彼を支えるチャラ男(マックス)を配置するのがこれまた上手い!このマックスを演じるコスティア・ウルマンの芝居も上手い!
宿敵(?)の鬼教官もいい。憎たらしいんだけど仕事はプロフェッショナル。こういう人が壁としてたちはだかってくれることで、仕事の現場のテンションは上がるし、映画としてのカタルシスも増します。

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そして、近年のヨーロッパ映画で無視できない難民問題もきっちりと。
これが今のヨーロッパの現状であることと同時に、誰でもある種の生きづらさは抱えているという示唆にもなっている。

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全体的にはポップなコメディ映画ですが、「夢を諦めない」どころではない、「人間の可能性を狭めない」というメッセージを感じました。

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【あらすじ】
高校生の時に視力を失って、5%くらいしか見えなくなってしまった(ぼやけて見える)青年サリヤの物語。
医者や教師からは盲学校を勧められたが拒否。
もともとそんなに勉強ができるわけではなかったけど、負けん気が強くて猛勉強して大学に入学。
「ホテルマンになりたい」という夢を叶えるために「目が見えないことを隠して」面接を受けて研修生として働けることに!
しかし…!

連載:『探偵はBARにいる』シリーズ

『探偵はBARにいる』シリーズの紹介記事書きました!
近頃少なくなった邦画の実写シリーズものです。しかもエンタメに硬派な社会派を忍ばせた良作。
『探偵はBARにいる』シリーズはほんとに好きだし面白いし『釣りバカ』以来のシリーズものとして活躍してほしい。
そのためには興行収入5億でも続けられるシステムが必要。
釣りバカはテレビ放映で稼げたから興収3億まで下がってもやれてた。
エロやバイオレンスも魅力の『探BAR』だからテレビ放映は期待できないとなると、『あゝ荒野』がやった劇場公開と同時期のネット配信か。
これは衝撃だったもんな。。
#探偵はBARにいる2 は
ゴリ演じる手品が上手な“ゲイのマサコちゃん”殺人事件から大きな事件へ繋がっていくのですが、現代社会のヘイト感情への痛烈な批判になっています。ラストは完全にヘイト感情というものを断罪したものになっており意外と硬派な社会派映画なのです。
2が評価低かったり興収低かったりするのはわかる。ヒロインは尾野真千子じゃなかったんだもん。
だけど事件や犯人の意外性、テーマの社会的意義からするとなかなかの名作なんだよ。