7月23日 日本魅録

太田尻家行ってカウンターに座ってたら
3人のお客さんから古本屋を勧められました。
行くべきである、と。
掘り出し物がいっぱいあるんだよ、と。

本自体を薦められることはあっても(ほとんどないけど)、
本屋を勧められるってのは珍しいな〜と思いながら話を聞いてました。

だがしかし僕がとんでもなく小説読まない人間なので、行ったってしょうがないんだよな〜と思いつつ、あまりにもヒマな日曜日にその古本屋へ行きました。
それは遠藤書店 at 経堂。

お店に入ってみたはいいものの、いやはや何コーナーを見たらよいのやら。
「まぁ、映画コーナーだわな」ってことで映画&演劇コーナー。

すると、うわぁキネ旬で連載中の香川照之の「日本魅録」 が!
さっそくキープ。
さらに続けざまに、ミニシアターがどうのこうのみたいなタイトルの本もキープ。

次は「まぁ、宇宙科学だわな」ってことでそれらしいコーナーに行ってみましたが、むずかしそうすぎて手が出ませんでした。
そういえば家に読んでないそれらしい本のいっぱいあるしな……。



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家帰りまして寝転がりながら「日本魅録」。

キネ旬の連載を読んではいたけれども、こんなにも文章を書く喜びにあふれている文体だったのかとはじめて知りました。

そして、やさしさとかあたたかさとかいうよりもまるで科学的で根拠のある愛情をもって共演者や監督、スタッフについて書かれているのも印象的でした。

自分のまわりにいる人についてこんなにも豊富な語彙で褒めることができるってことはきっととてもしあわせなことだろうなと思います。

何人も出てくるけど、同じ言葉同じ表現は使ってない。
それをあえてやってるというよりは「いや、だってひとりひとり違う人なんだから」って感じで。

語彙が豊富で、どの文章にもムダがないから、ひとつの章は短いんですが情報量が多い。
流れとユーモアで疲れないどころか、スッと世界に入り込める。
自分の意識がページに溶け入るような感覚。

文章自体も面白いし、内容も面白いし、出てくる人も面白いし、写真も面白い。


好きな文章を抜粋します。



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目の前に、「はい、あーんして」と、欲しいものは何でも与えられてきた愚かしい過去の環境があったとする。
「勉強は?勉強はしたの?」と勉強さえしていれば何にも言われなかった悪しき隠れ蓑も用意されていたとしよう。
それこそは、子どもらしい真っ直ぐな意志の羽ばたきが止められた歪んだ巣穴。ならばその者は、そうした誤った幼児体験からなんとしても脱却しなければならない。
そして自分の心の中にあるほのぐらい部分、あるいはその逆のひどく純粋な感情、全てをありのまま解放せねばならない。
ありのまま。意志の解放。感情の放出。自由。本音。

「日本魅録/香川 照之」




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うわぁ、 本っておもしろいな〜〜〜とひさびさの体験ができました。