映画『ウイスキーと2人の花嫁』

実際の事件の映画化『ウイスキーと2人の花嫁』











グラスゴー(スコットランド)沖にある小さな島が舞台。
この島がかわいいっ!港も船も家も島民もみんなかわいい。
なんか全部お菓子でできてるんじゃないかと思うほど。


この映画は実話ベースで、ナチスによるロンドンへの空爆が激しくなっている頃の話。
すぐそこに戦火が迫っているというのに島民が落ち込んでいるのは「ウイスキーの配給停止」。。

〝命の水〟を失って落ち込んでいる島のすぐそこでなんと〝5万ケースのウイスキー〟を積んだ船が座礁。
実話じゃなければ嘘くさくて絵本にしかならない話。

船員を救助した後ウイスキーも『救助』するわけですが、そのウイスキーを探している関税消費庁や民兵や政府の人間などが島に隠されたウイスキーを探し回ります。
島民一丸となって知恵を絞ってウイスキーを隠すが…。

四コマ映画『ウイスキーと2人の花嫁』→


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という実話に、結婚間近の2人の娘を持つ父親の気持ちや、戦時中であっても好きになった男性と結婚することで自分の人生を選ぶ2人の娘や、厳格な母に押さえ込まれてきた息子の反乱や、その母親自身の新しい扉、などなど人間ドラマも盛り込まれています。

が、とにかく全体的にほのぼの。
ちゃんと笑えるし、ハラハラするし、感動できる。
しかも98分ですよ。
大好き、こういう映画。


『ウイスキーと2人の花嫁』→
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〝歴史〟が為政者に作られるものなら〝昔話・伝承〟は庶民が作るもの。
1941年スコットランドで起きた実在の貨物船座礁事件から始まるこの話はスコットランドの人はずっと語り継いで今でも大好きなんだそう。

この話のどういう部分をみんなは好きなのでしょうか。


戦火がすぐそこまできているという段階でも「酒が呑みてぇんだよ!」という素直な欲求でみんなが一丸となって協力し合う姿はたしかに痛快。

この映画で描かれる逞しさやしたたかさに人は惹かれるんでしょうね。
こんな風に自分を貫きたいなと(しかもそこまで迷惑かけてる訳でもないしね…)。

全体主義や厳しすぎる宗教観に飲み込まれてるキャラも出てくるけど、和気藹々と「ウイスキー救出作戦」を実行する人々と比べるとやはり人間性を失っているように描かれている。

『ウイスキーと2人の花嫁』となって現れたこの〝昔話・伝承〟は、細かな事実が消えて削ぎ落とされて本質の〝民衆が求める物語〟として成立してます。